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2012/10/1 稽古日誌

昇段審査を終えて、今日から新しい形にはいります。

ここのところ長時間の稽古が続いており、やや疲れているか可と思いますが、新しい形を教えてもらえる時は、なんだかワクワクするものです。


当の私も疲労が蓄積して風邪を引いてしまいました。

主な参加者全員に新しい形を指導するのは大変ですが、心機一転始めたいと思います。


本日は、昇段を終えたMさんYさん、Wさんが参加です。

相対を終えてから、では新しい形に・・・・・・というわけにはいきません。

この前の昇段審査をふまえて、以前の形の復習です。

全杖連の規程で初段になったということは、いつでも表の形をそれなりに演武できなくてはなりませんし、二段になれば、表・中段をとおして同じ事が求められるわけです。
ですから、審査が終わってからが、真の実力を問われると時と言っても過言ではないと思っています。
そういった意識をしっかり持ってもらう意味でも、復習は必要不可欠なのです。

審査時に問題となったのは、全員、形の細かい部分ではなくて基礎的な問題です。

松本のK先生からも指摘を受けていましたので、それを意識しながら表から復習を始めました。

長く、審査のために合わせていたせいか、やはり皆さん「合わせる」動きになってしまっていますので、まずそれを改善しなくてはなりません。

特に太刀について、それが顕著です。

杖も、ただ形を追求するだけで相手を制圧するためにどう杖を使い、力を働かせるかという意識が抜けています。

あと、やはり重心の置き方というか、攻撃により身体のバランスを崩さないように、それぞれ工夫が必要と思われました。

まずは、腰、つまり重心の上下動をできるだけ少なくすることです。

それを見るために、「一礼」をそれぞれ演武してもらいました。

「一礼」はしゃがんだ状態から立ち上がる、逆手打ち、突留め、体外打ちと、身体が伸び上がってしまう動作ばかりです。

特に、最初の籠手取りと、最後の体外打ちのときは伸び上がりやすい。

皆さん、やはり最初の籠手取りが肩に力が入って棒立ちになりやすく、最後の体外打ちの杖を上げる動作の時に腰を伸ばしてしまう癖があります。

最初の籠手取りは、前にも述べたように杖を先に飛ばして、相手の籠手から水月を制してしまう意識を持てば、そんなに上がることはありません。

最後の体外打ちも、難しいですが立って避けるのではなく、足を揃えることにより後ろに下がり避けるという意識を持てば、あまり伸び上がらずにすむのではないかと思います。


最後に太刀については、「当てる」太刀ではなくて「斬る」太刀でなくてはならないということ、そのためには切っ先を動かすことに意識を集中した方がよいのではないかという話をしました。

これは、当たった場所にもよりますが、日本刀とはいえ、当たっただけでは、相手の戦闘能力を奪うような傷を負わせることはできないと思います。

胴など服の厚みがある上からならなおさらです。

ですから、太刀は常に斬る動作をするうえで、どう動くかを考えるべきであり、斬れていないのに力づくや、体勢を崩すことで当てにいくような無駄な動きをするべきではないのです。

昇段を機に、それらのことを再認識して稽古に励んでもらいたいと思います。


さあ、いよいよ各人新しい形を始めます。


まず、初段になったWさんは「一刀」と「押詰」。

「乱留」までいこうかな?と思いましたが、難関の中段繰付けがありますので、やめにしました。

まあ、本日は形の順番が主で、細かい技については簡単に解説・・・・・というわけにいかないのが中段繰付です。

ここで変な癖がつくと、後で大変苦労することになりますので、ある程度細かく指導しました。

主に、最初の顔面への突入れです。

相手が斬ってくるギリギリまで待つことと、なるべくギリギリで避けながら突き入れる、このギリギリ2点につきます。

ここのところ、私も避けすぎになっていましたので、修正点を確認しながら指導しました。

つぎに、太刀を引き上げるのですが、この時も腕の力にならないように、体を大きく使って相手を崩さないといけません。

この点は、ある程度ざっくりと指導しておきました。

特に、この動作は細かく考えるほど混乱するところなので、まずはイメージをつかんでもらい、それからある程度ポイントを絞って、動作の確認をしたいと思います。

どちらにしても、中段繰付けは、4段以上でもなかなか上手くできない技ですし、指導者によってもいろいろと変わってくる術ですので、じっくり腰を据えて指導するつもりです。

私も、相当この「中段繰付」の迷路にはまり込んだ記憶があります。

自分なりに効かせる方法はある程度確立しているのですが、それが杖術の動きとして正しいのか、常に効かせることができるかどうかは、まだまだ検証の余地があるところ。

また、指導していく打ちに見えるものがあるかもしれません。



さて、Wさんはこのくらいにして、次に2段となったMさん・Yさんに「乱合 大太刀」を指導することにします。


乱合は、恐らく一番長い形であると思われます。

その技、前半は中段の要素を組合せ、後半にかけて影の要素が現れてきます。

いわば、「中段」と次に稽古すべき「影」をつなぐ形としては、大変良くできているのではないかというのが感想です。

実は、「乱合」の大太刀・小太刀は神道夢想流杖術の正式な64本の形の中に含まれていません。

江戸中期に創られた形ということを伝え聞いています。

昭和期に創られた「5本の乱」と、この「乱合」については、稽古や演武をさせない先生方もおられると聞いたことがありますが、全杖連では正式に稽古形として取り入れています。

代々の正当性云々は別として、動きが大きく演武するには見栄えのする形ですから、恐らく杖術を始めた人は皆、一度は目標にする形ではないでしょうか。


本日は、やはり順番のみ。

前半は、正に中段の組合せですので、特に注意点は無し。

前半最後の引落からの打ちと、太刀の胴斬りをかわして突くまでの動作は、「影」に通じる動作になりますが、ここも大雑把にタイミングとかわし方のみ教えます。

初めて繰放しが形に出てくる後半からは、新しい動作も多いので、あくまでもイメージだけで、あまり細かい術は後回しとしました

最後の打ちは、とにかく怪我をしないように、まず横に跳ね飛ばす方法を指導しておきます。
長い形ですからまずは、順番をきちんと頭の中に入れておくこと。

なかなか様になるまで時間のかかる形ですので、これから最低2年間、じっくりと稽古してほしいところです。

と、なんとか駆け足で新しい形にはいることができました。


来週は、新しい形もそうですが、いよいよ全国大会に向けて団体戦の練習を行う予定です。
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